9月18日に国土交通省から2018年7月1日時点の基準地価の発表がありました。
土地取引の指標となる基準地価ですが、普段生活している上では目にすることが少ないですし、公的機関が公表する土地価格は基準地価のほかに、公示地価、路線価、固定資産税評価額など種類が多いので、不動産投資の初心者の方には分かりにくいのではないでしょうか。
そこで今回は不動産価格の参考にもなりますので、公的機関が発表する主な地価の指標となる基準地価、公示地価、路線価の基本情報や今回の地価の発表からみえる、今後の地価の動向を解説していきます。
目次
公的機関が公表する主な地価の指標
公的機関が公表する主な地価の指標は3つあります。
公示地価とは
国土交通省の土地鑑定委員会が2人以上の不動産鑑定士による評価をもとにまとめた毎年1月1日時点の全国の土地価格です。
国土交通省が3月に公表し、公共事業用地の取得価格算定の基準や一般の土地取引価格の指標になります。
基準地価とは
都道府県が1人以上の不動産鑑定士による評価をもとにまとめた毎年7月1日時点の全国の土地価格です。
国土交通省が9月に公表し、価格の評価方法や目的は公示地価と同様に考えられますが、調査時点が半年違うのでその年の半ばの動向を把握することができます。
路線価とは
国税庁が売買実例価格、公示地価、不動産鑑定士による評価、精通者意見価格等の複数の価額を参考にまとめた毎年1月1日時点の全国の土地価格です。
国税庁が7月に公表し、主要な道路に面した土地を対象に相続税や贈与税の算定基準になります。
基準地価 | 公示地価 | 路線価 | |
調査主体 | 都道府県 | 国土交通省 | 国税庁 |
調査地点数 | 約2万2千 | 約2万6千 | 約33万 |
調査時点 | 7月1日 | 1月1日 | 1月1日 |
公表時期 | 9月 | 3月 | 7月 |
活用法 | 土地取引の指標 | 土地取引の指標 | 相続税等の算定基準 |
基準地価がバブル期以来27年ぶりに全国平均が全用途で上昇
全国平均が全用途で前年から0.1%上昇し、バブル期の1991年以来27年ぶりに下落から上昇に転じました。
東京、大阪、名古屋の三大都市圏と札幌、仙台、広島、福岡の地方中核4市の好調が続き、4市以外の地方の各地でも地価が上昇し全国的にも地価の回復傾向がみられました。
商業地の全国平均では、訪日外国人観光客の増加でホテルや店舗の需要や主要都市のオフィス空室率の低下などを背景に1.1%のプラスになりました。
住宅地の全国平均では、0.3%のマイナスで27年連続の下落になりましたが、下げ幅は前年の▲0.6%から縮小しました。
超低金利環境の継続などを背景に需要が堅調に推移し、下落幅は9年連続の縮小で緩やかに回復しています。
三大都市圏では、商業地が4.2%で住宅地が0.7%プラスになり、前年よりも上昇基調が強くなっています。
そして、東京圏では商業地が4.0%のプラスで住宅地が1.0%のプラスでした。
さらに細かくみると、23区の商業地では7.2%のプラスになり、都心三区(千代田、中央、港)の周辺の北、墨田、板橋、足立といった周辺区も上昇率が5%以上になり上昇エリアが広がっています。
23区の住宅地では4.3%のプラスで、上野東京ラインの開通などで都心へのアクセスが向上した荒川区などの城北エリアや利便性が高く、割安感のある江東区などの城東エリアで上昇率が拡大しています。
今後の動向と不動産投資を始める上でのポイント
2018年の基準地価は、全国各地の中核都市や観光地のある地域がけん引して上昇しました。
訪日客の増加でホテルや店舗などの需要が高まり、再開発効果や日銀の金融緩和による超低金利の継続で不動産市場にマネーが流入していることが要因です。
ただ、細かくみていくと二極化していて同じ都道府県内でも利便性が低かったり高齢化がすすんだりしている地域では下落が続いています。
今後はコンパクトシティ化が進み二極化が広がっていく可能性が高く、その動きが少しずつ現れてきているのではないでしょうか。
実際に国土交通省はコンパクトシティを推進していますし、アメリカのオレゴン州にあるポートランドはコンパクトな街づくりに成功して「最も住んでみたい都市」として高い評価を得ています。
人口減少や高齢化が進む日本においては、色々な調整は必要ですが、成功例を参考にしながらコンパクトシティを進めていくことは有効な方法になりそうですね。
そして、コンパクトシティ化が進むと需要の高い人気のエリアは地価が上昇していき、需要の低いエリアは下落していくことが予想されます。
都心にアクセスが良く、利便性が高いエリアでは、需要が高く“ヒト”“モノ”“カネ”が集まります。
不動産投資を考える上では、需要の高い場所に投資をすることがリスクを抑えて、安定的な不動産投資を実現できるポイントになります。
まとめ
実際の不動産取引では個々の事情に左右されることが大きく、公示地価や基準地価などと乖離することも多いです。
毎年公表される土地価格は客観的な指標として参考にしていただき、地価が上昇しているのか下落しているのかなどの傾向をつかむための指標にすることが分かりやすい利用方法だと思います。
実際の売買の際には、周辺の取引事例などを参考にすることがおすすめです。